1954年に発売されたストラトキャスターは年々少しずつマイナーチェンジをされます。
見ただけでわかる所から中身を開けないとわからない所までいろいろ変わっていきます。
そこで今回は中身を開けないとわからない部分のピックアップについて書いていこうと思います。
現在いろいろなメーカーからピックアップが発売されています。
シングルコイル・ピックアップのほとんどはフェンダーのビンテージギターのピックアップを基本として作られています。
それを理解するうえで役に立つスペックの変移などをまとめてみました。
参考にした本はこちら
ピックアップの変移を表にしてみました
見やすいように表にしてみました。
年代を書いてますが、同じ年代でも前の仕様が混在する場合があります。
空欄は変わってないということです。
ボビンに関しては混在する年があります。
基本的に1965年にグレイボビンに変わったけれどブラックボビンと混在する年もあるという感じです。
1954年 ストラト発売当初のピックアップ
発売当初はアルニコ3、コイルの巻き数7000ターン、ポールピースの高さは4弦が一番高い(トールD)です。
翌年にはアルニコ5に変わり、巻き数も約8000ターンに増えます。
他の年代と比べて1954年のピックアップは出力が小さいのが特徴です。
アルニコと巻き数について
簡単にアルニコについて説明するとアルミ、ニッケル、コバルトの合金です。
数字によって出力が違います。
基本的に数字が上がるごとに出力が上がっていきます。
3は例外と思ってください。
そして、巻き数は多い方が出力が大きいです。
1955年 発売の翌年に大幅に仕様変更
発売の翌年には大きく変更されます。
ポールピースはアルニコ5、コイルの巻き数は約8000ターン、ポールピースの高さは3弦と4弦がほぼ同じ(トールG)になります。
これ以降この基本仕様はほとんど変わりません。
1961年 ピックアップの上部がS極になる
1961年にピックアップの上部の磁極がS極になります。
これに関しては音の違いはほとんどないと思ってます。
3つのうち1つだけピックアップ交換をする時に磁極の向きが違うと、ミックス時の音が変わってしまいます。
そういう時以外はあまり気にしなくていいと思います。
1964年後半ワイヤーがプレーンエナメル被膜に変わる
それまでのフォームバー被膜よりも薄いプレーンエナメル被膜に変わります。
同じターン数でもコイル全体が細くなります。
外周が変わると音に影響があると思われます。
なので、1964年からのピックアップはちょっと違うものと考えていいと思います。
1965年 ボビンの色がグレイ
前年あたりから変更されていきますが、1965年にグレイボビンに完全移行します。
しかし、その後ブラックボビンと混合している時期もあるので1つの目安と思ってください。
1969年 ターン数が約7600に減る
1969年にターン数が少し減って約7600ターンになります。
これは良いのか悪いのか微妙な仕様変更です。
自分の考えとしては、フェンダー社がCBSに売却されたことによる方針転換の1つと思ってます。
つまり、少しでもコストをかけずに作るという方針のもとワイヤーの量を減らしたのではないか?と思ってます。
ターン数は減らしたから悪いというわけではありません。
しかし、10年以上も約8000ターンだったのにここで変えるのは少し疑問があります。
1965年のCBSに売却されてから改良とは言いずらいマイナーチェンジが行われます。
CBSに売却されてからの微妙な仕様変更については以前の記事に書いたのでそちらも読んでみてください。
まとめ
ストラトのピックアップを語る上での重要な年式は‘54年、‘55年、‘64年、‘69年です。
現在、いろいろなメーカーからピックアップが発売されてます。
この仕様を覚えておけば、そのピックアップがどのような音を狙っているかわかると思います。
参考になれば幸いです。
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